第96回メーデー長岡地区大会を開催
第96回メーデー地区大会が、長岡地区大会をはじめ中越地協各5支部において、盛大に開催されました。今年のメーデーのメインスローガンは
「次代につなぐ 平和の願い!みんなでつくろう 支え合う安心社会と確かな未来(あした)を!」
県統一テーマは
「物価高に負けない賃上げ!働く仲間が幸せになれる 明るい未来(あした)を実現しよう!」




5月1日(木)、長岡市立劇場大ホールにて長岡地区大会が開催され、集会に先立ちデモ行進も行われました。デモには、組合員やそのご家族約600名が参加しました。当日は爽やかな晴天に恵まれ、午前8時30分よりアオーレ長岡と防災公園の2カ所から、3集団に分かれてデモ行進を実施。今回はアピール度を高めるため、市中心部を通る長めのコースを設定しました。参加者は、「祝メーデー」の横断幕をはじめ、物価高に負けない賃上げの実現、公正なワークルール、子育て支援の充実などを訴えるプラカードやアピールボードを掲げ、シュプレヒコールを行いながら市立劇場へと行進しました。




式典は、長岡市立劇場大ホールにて9時45分に開会。司会はSJネットの権頭委員長と渋谷委員が務め、島倉委員によるメーデーの起源朗読から始まりました。
主催者挨拶に立った矢島実行委員長は、「2025春闘は、物価高に負けない大幅賃上げを求める取り組みだった。多くの組合で例年を上回る賃上げを実現できたが、物価上昇には追いついていない。格差も拡大している。賃上げを一過性で終わらせることなく、“賃上げが当たり前”の社会へとつなげていかなければならない。そのためにも、今もなお闘っている中小組合への支援を継続していく必要がある」と訴えました。また、「支え合う社会」の実現に向けて、夏の参議院選挙をはじめとする政治課題や、災害被災地支援、平和運動への参加・連帯を呼びかけました。
大会には多くのご来賓にもご出席いただき、連合新潟の小林俊夫会長および長岡市の磯田達信市長から祝辞をいただきました。
小林会長は、春季生活闘争の課題や、石破首相と芳野連合会長との政労会見に地方連合会代表として出席・発言した内容を報告。連合新潟としての取り組みにも触れながら、連帯の重要性を強調されました。
磯田市長は、日本経済が大きな転換期を迎えている中、「“横と横”のつながりを大切にし、連帯して大きな力を発揮することが重要。ともに明るい長岡の未来を築いていきたい」
と語られました。
地域貢献事業として、今回は子育て中の母親を中心に様々なイベントや「ママたちの居場所cafe Tilli」などを運営する「ママによるママのためのハンドメイドマルシェforMAMA」へ、矢島実行委員長より寄付金20万円が贈呈されました。
寄付を受けた小林友梨さんは、「自分自身も不登校の子どもを育てるシングルマザーとして、2015年から社会とのつながりを求めて自主イベントを始めた。ママたちが中心となり、居場所づくりやフリースクール運営、シングルマザー支援に取り組んでいる。この寄付を機に、気を引き締めてさらに取り組みを深めていきたい」とお礼の言葉を述べられました。


「挑戦する心が人を育てる」―上重聡さん講演より
今回の記念講演は元日本テレビアナウンサーで、現在はフリーとして活動する上重聡さんを迎え、「アナウンサーのコミュニケーション術と挑戦する重要性」と題した講演が行われました。放送の現場で培った経験と、多くの人との関わりの中で得た学びを交えながら、挑戦する姿勢の大切さが語られました。
冒頭、上重さんは「最初に触れる水がお米の味を決める」と例え、人生や教育でも「最初の印象や環境」が重要であると強調。特に新入社員には、早い段階で良質な経験や情報を与えることが、成長の鍵になると訴えました。
また、少年時代の野球経験からも多くを学んだと言います。中学時代は劣等感に悩みながらも、高校での厳しい練習に耐え抜き、甲子園出場を果たすまでに成長。その原動力は「意識の持ち方」だったとし、「どんな作業も意識次第で意味が変わる」と、草むしりを例に熱く語りました。親元を離れての寮生活を通じて感じた感謝の気持ちや、人との関わりの中での気づきも、現在の糧になっているそうです。さらに、青山学院大学・原晋監督の選手育成方法に触れ、組織づくりにおいて「褒めること」「考えさせること」の重要性を紹介。遅刻した選手に対し感情的に叱るのではなく、自ら気づきを得られるよう導く指導法が、結果的にチームの成長につながると説きました。若手の意見を尊重し、失敗も成長の糧とする柔軟な組織文化が、強いチームや職場を生むという指摘は、働く私たちにも示唆に富んでいます。
また、体調不良が仕事に与える影響や、自身のフリー転向後の苦労、テレビ番組出演をきっかけにチャンスを得た体験も披露。「助けてもらったからこそ、今は子どもたちの野球教室などを通じて恩返しがしたい」と話しました。
最後に、「会社のイメージは社員一人一人の行動で決まる。長期的なビジョンと準備が大切」と語り、講演を締めくくりました。挑戦する心、他者と切磋琢磨する姿勢、そして感謝を忘れない気持ちが、働く私たちにも大切な姿勢であることを再認識させられる時間となりました。






また、講演終了後には、県内各地のメーデー会場を回っている打越さくら参議院議員が駆けつけ、「誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて、連帯して取り組んでいきたい」と挨拶されました。
大会中盤では、五十嵐副実行委員長よりプラカードコンクールの審査結果が発表され、全13作品のうち、賃上げや価格転嫁、子育て環境などをテーマにした10作品が入選作として紹介されました。
終盤には恒例の大抽選会が行われ、SJネット委員会の島津副委員長、坂田委員、前川委員が登場。お米やSDGsギフトセット、ひのきローズなどが当たる1次抽選の後、1等賞(商品券5,000円分)3本、特賞(旅行券30,000円分)の抽選が行われました。特賞にはOM製作所労組のWさんが当選し、ステージ上で目録が贈呈されました。
大会は、メーデー宣言の採択および特別決議を行ったのち、矢島実行委員長の音頭による「団結ガンバロー」三唱で閉幕となりました。
戦後・被爆80年 次代につなぐ平和の特別決議(PDFファイル)
メーデー宣言(PDFファイル)



メーデーに込めた想いをカタチに──中川めぐみさんと描いた「支え合い」と「平和」
今年のメーデーでは、デモ行進で使用するメッセージボードや街宣車の装飾に、中川めぐみさん(絵本作家)によるイメージ画が活用されました。これらの作品は、SJネット委員会と協力して制作されたもので、開会前には中川さんご本人から作品に込めた想いについての報告もありました。
1枚目の絵のテーマは「支え合う」。中川さんは、どんな仕事にも意味があり、それが存在していること自体が「ありがとう」の証であると語ります。工場で単調に同じものを作り続ける仕事でも、それを待っている人がいることを想うと、心が温かくなる──そんな優しさを形にした作品です。絵に登場するハートは、お金やモノを象徴するだけでなく、その奥にある感謝や愛といった「目に見えない大切なもの」も表現しています。中央に描かれた黄色い丸は、見る人によって太陽や心と捉えられ、多様な解釈を受け入れる温かな存在として描かれました。
2枚目のテーマは「平和」。労働の場における平和とは何か──議論を重ねる中で、「定時で帰れる」「ボーナスがある」「ちゃんと休める」といった現実的な願いが多く挙がりました。中川さんは、仕事に追われ心や体を壊してしまう人々を見てきた経験から、「命は有限」であることを表す作品を描きました。労働組合との打ち合わせの際に参加者が描いた「ハート」に時計の針を加え、命という時間をどう使うかという問いを投げかけています。
さらに、中川さんは「本来の自分」を見つめ直すことの大切さにも触れます。目に見えない「希望」や「信念」といったタカラモノを、私たちは忘れがちですが、それこそが人生を豊かにする鍵であると訴えます。描かれた星やハートには、「こうでなければならない」という思い込みを超え、目に見えない価値を大切にするメッセージが込められています。
この2枚の作品は、働くことの意味や人と人とのつながり、そして平和の尊さを改めて考える機会となりました。